2年前の冬、バイト先で出来た友達2人と“普段壊せないモノを壊しまくれる施設”に遊びに行った。
前日のグループLINEで、相手方達からは
「壊しまくるぞ〜!」「楽しみ〜!」
という、心踊るメッセージが送られて来ていた。
僕も心が踊った。
脳内でタップダンスを披露していた。
当日。
なんの知識もないまま(と言うよりも敢えて知識を得ないまま)、モノ壊しに挑んだ。
中に入って説明を受け着替えると、想像以上に重装備な事に驚いた。
ヘルメットのようなものや、特殊な靴を履かされたからだ。
今思えば当たり前の事だが。
友達の方を見た。
ワクワクしているようだった。
店員のラフなお兄さんに案内された先は、なんと表現するのが正しいのか困ってしまうのだが、これだけは言える。
丈夫な部屋である。
最初に目に映ったもの。
それは、まるでホストクラブのシャンパンタワー。
グラスが何段にも積まれていた。
それを見ただけで、highになれた。
制限時間内なら部屋にあるもの全て壊していいらしい。
何から壊してやろうかと考えている内に、カウントダウンが開始した。
まずい、時間と金が勿体ない、壊さなければ。
そう脳から司令が来たのだ。
僕は友達2人が
「何から壊す〜?」
などとちょっと恥ずかしそうにモジモジしている中、龍が如くの主人公かのように金属バットを振り回し、炊飯器やケトル、シャンパンタワーもどき達に暴行を加えた。
楽しい。
それだけが感情として湧き出てきた。
誰も僕を止められなかった。
と言うよりも、僕自身が周りを見ていなかったと言うのが正しい。
終了のベルが鳴った時には、部屋の隅で2人は怯えていた。
それはもう肉食動物に食べられることを恐れる小動物だった。
僕は穴があったら入りたい気持ちで押し潰されそうになりながら、声を絞り出した。
「た、楽しかったね^_^」
帰った後から、友達とは連絡が取れなくなった。
そう、キチガイな僕も怖いし、遊んだ後で音信不通になる友達も怖い。
つまり、ニンゲンが1番怖いのである。
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